メンタルブロック (2011年7月2日)
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私たちはいろんな思い込みをしています。無意識にいろんなことを刷り込まれています。常識といわれることの多くが刷り込みによる思い込みかもしれません。一度意識をして、自分のメンタルブロックを探してみませんか。そしてそのブロックをはずしてみませんか。新しい何かがそこから始まるかもしれません。
経営者にも様々な思い込みがあります。一つは、会社は大きくなければならないという思い込みです。自分で始めた会社にしろ後を継いだ会社であれ、いつかは大きな会社にと期待され自らも思っています。しかし本当にそうなんでしょうか。世の中には、小さくて素晴らしい会社がたくさんあります。規模は小さくても利益が大きく安定した会社の方がいいのではないでしょうか。無理をして規模を大きくしても、利益が少なく売上ばかり大きくては経営する意味がありません。売上が伸びても適正な利益が伴わなければ、いたずらに運転資本(ワーキングキャピタル)が増えるだけで、運転資金を調達しなければなりません。たちまち資金繰りに明け暮れる毎日になってしまいます。経営者の見得とプライドだけで、いたずらに右上がりを望んでいませんか。
二つめは、借金はしてあたりまえ、という思い込みです。私が社長になった頃、世の中の風潮として金を借りることがとても簡単で容易でありました。借金も実力のうち、借金を多く出来る会社が良い会社だ、なんて言われていました。しかし本当でしょうか。本当は借金なんて無いのがいいにきまっています。当時は必要のない金まで、銀行の担当者に頼まれ借りていました。本来、自己資金でやれれば一番いいのです。そして利益を積み重ね、自分の金で会社を動かすのが本来の姿です。金融機関や証券投資会社などは、彼らの論理でものを言います。会社のバランスシートを見て特に右側の資本と負債の比率を最適化しなさいとかなんとかいいます。要はもう少し借入を増やせとか減らせとか言うのです。なんと言われようと自己資本率100%がいいのです。自分のお金だけでやれれば一番いいのです。
3つめは、社員は家族同然と思いこんでいませんか。家族的経営の中小企業を舞台にしたドラマや映画がいろいろありましたね。優秀な社員もいればそうでない社員もいます。中小企業は大手と違い、採用に金と時間をかけられず、比較的、簡単に社員を採用します。採用したのはいいけれど、思っていたのと大違いなんてことが何度かありますね。辞めさせたいけどもう少し我慢してみようかとか、中小企業だから人材はこんなものかと、諦めながら雇用し続けていませんか。しかし会社ですから調子がいい時ばかりじゃありません。売上不振による資金不足。さてどうしよう。人の問題は避けて通れません。一日も早く決断しなければ、会社存続の危機です。適時に適切な対応を取らねばなりません。
会社は大きくなくてもいいのです。会社は借金しないほうがいいのです。社員は相互の信頼関係が築ければいいのです。
私たちはいろいろな思い込みをしています。知らず知らずのあいだに、私たちの頭にしっかりと、刷り込まれています。一度ゆっくり時間をかけて、自分のメンタルブロックを探してみてください。そのブロックをはずしてみたら、何かが大きく変わるかもしれません。今まで見えていなかったこと、考えもしなかったことが、きっと現れてきます。