経営継承はバトンリレー (2013年9月25日)

ビジネスコラム

経営継承はあらゆる場面で陸上競技バトンリレーを彷彿とさせます。

第一走者は当然、現経営者です。

第一走者はスタートから己のペースで走ります。

しばらくするとトップスピードで走っています。

第二走者が視界に入りだすとそろそろバトンを渡す準備が始まります。

第二走者はもちろん後継者です。

バトンを渡す準備はトップスピードを落とすことから始まります。

現役の経営者は今まさに全速力で走っています。

後継者に譲ると決心をしたときから準備をしなければなりません。

そのひとつが権限の一部委譲です。

第二走者はバトンパスができるテイクオーバーゾーンといわれる20メートルの間でバト

ンを受けとらなければなりません。

スタートからバトンを受けるまでがさしずめ後継者の養成期間でしょうか。

第二走者はできる限りスピードを上げ第一走者からスムーズにバトンを貰わねばなり

ません。

両者のタイミングを合わせることがレースに勝つ大きなポイントです。

経営継承において最も大切なことは継がせる者と継ぐ者のタイミングを合わせること

です。

経営者は自分のペースと後継者のペースを計りながら継がせるタイミングを決めま

す。

後継者は一日も早く立派な経営者になれるよう切磋琢磨の日々を重ねます。

そして経営を渡されたなら懸命に社長業を努めます。

これが理想とする経営継承です。

さて、バトンを渡し終えた第一走者は速やかにレーンからそしてトラック外に出なけれ

ばなりません。

経営継承の場面でもここが最も難しいところのひとつでもあります。

経営から一歩退いたはずの前経営者がいつまでも以前と同じように社内で振る舞

っていたならどうでしょう。

経営を譲ったなら新しい経営者の手腕を暖かく見守りつつ、タイミングを見ながら

表舞台から去ってやらねばなりません。

己の出処進退を見事に演じるのもまた経営者の仕事です。