役割と責任そして権限移譲 経営者の35の秘訣 その30 (2014年1月10日)

ビジネスコラム

~役割と責任そして権限移譲~

中小企業では社員一人一人の役割と責任が明確でない場合が多く見られます。
一般社員はもちろんのこと、なかには役職者の役割分掌が明確にされていない企業が
多くあります。

前回お話しした社員の自主性を尊重することと相反することのように思われますが、
自分の役割と責任を明確に自覚している者が自主性を発揮することでワンレベル上の
仕事ができるということです。

ある顧問先企業で営業マンの人材再生に取り組んだことがあります。
50過ぎの営業マンにもう一度やる気と活気を持たせ営業成績を上げようという取り組み
でした。

その会社には5人の営業マンがいます。
チームリーダーがいなくそれぞれがてんでばらばらな営業活動をしていました。
そもそもそれぞれの役割と責任が会社から明確にされていないようでした。

それぞれなんのノルマもなく、エリア別に分けられているわけでもなく、既存顧客を
何社かずつ与えられているだけのようでした。
既存顧客から注文がなければないで済ませているようでした。

聞けば新規顧客開拓などみんな誰もしたことが無いと言います。
当然の結果としてここ数年売り上げが減少し続けているようです。
それでも社長から何の指示もないので営業マンたちはのんびりと構えていました。

このような場合に自主性を唱えてもらちがあきませんし、時間の無駄です。
まず、会社として営業職の役割を明確にすること、次に責任を明らかにすることから
始めてもらいました。

また、チームリーダーを決め、その育成も同時に行うことにしました。
役割を明確にすることでそれぞれがやるべきこと、やらねばならないことが明らかに
なり、目標、目的を持つようになりました。

営業会議はそれまで経営者自らが進めていたようですが、チームリーダーに進行役を変わって
もらい進めています。
それまでの社長からの一方的な話と営業マンからの報告だけであった会議が、すこしずつ
変化しているのが分かり、今後の展開が楽しみです。

それぞれの社員の役割と責任を明確にすることで、社員に目標と目的を持たすことができ、
それぞれの責任者に少しずつ権限移譲することでそのリーダーシップが高まり、社員の
自主性を引き出す機会に繋がります。