親子経営 繁盛と繁栄の秘策 子供がすべき7つのこと 1 感謝の気持ちを伝える (2015年8月19日)
ビジネスコラム感謝の気持ちを伝える
これまでは親子経営を上手く行うため父親である経営者にやってもらいたいことをお伝えしましたが、今回より子供である後継者がやるべきことを7つ書いていきます。私の経験からお話ししますと、どちらかと言えば子供より親が変わることの方が関係性に変化を与えるのが早いのですが、なかなか難しいのが現実です。
ただ何度かお話ししましたが関係性は当然相対のものですから、どちらからの変化でも最終的には同じ結果を生じることになります。よって、長年経営をしてこられた頑固な父親より素直な子供さんから変わってもらうことで、親子の関係性に変化を与えることにより期待しています。
最近私の経営塾では、塾生と共に四書(大学・論語・孟子・中庸)を学んでいます。私の経営塾は若手経営者と後継者を対象としています。なぜ今四書なのかはまた書く機会を別にしますが、経営者となるにあたってまず人間としてどうあるべきか、リーダーとしてどうあるべきかを共に考えています。
さて、論語のなかに次の一節があります。「子遊、孝を問う。子の曰く、今の孝は是れ能く養うを謂う。犬馬に至るまで皆な能く養うこと有り。敬せずんば何を以て別たん。」とあります。
親孝行とはただ物質的、金銭的に養うというだけでなく、心から親を敬い尊敬しなければ本当の孝行とは言えないと言っています。先日のある調査では、今の日本の若者にとって親を養うという認識が他国の若者に比べとても少ないのだと言われていました。
そのうえさらに親を敬い尊敬しなければ孝行と言えないと言われると、とてもあり得ないと言われてしまいそうです。そういう私自身が親父を尊敬していたかと問われると、何とも言い難いところです。
ただ私の場合は親父に感謝はしておりました。育てて頂いたこと、大学まで行かせて頂いたこと、会社を継がせて頂いたことなど本当にありがたいと思っていました。その気持ちを親父に伝えたかと言われると残念ながら言えずじまいでした。今も後悔があるとしたら唯一そのことでしょうか。
私が6年前の春に事業に失敗したときのことです。当時私の長男はアメリカで大学4回生でした。あとわずかで卒業というときでした。幸い彼の授業料は先に送金しており無事卒業することができました。
私がまだ失敗と挫折から立ち直れずにいたときでした。ある日私の携帯にアメリカに住む長男から電話がありました。「お父さん、これまでいろいろとありがとう。大学も卒業させてくれてありがとう。俺は大丈夫やからなにも心配せんでいいよ。これからお父さんは自分のことだけ考えて。」
それまで私と息子はあまり仲良くできていませんでした。多くは私に問題がありました。知らず知らずの間に確執ができていました。しかし、この息子からの電話でそんなことのすべてが無くなってしまいました。変わったのは私でした。息子のおかげで私自身が大きく変わりました。それ以来、私と息子の関係性は大きく変化しました。
子供である後継者が父親に感謝の気持ちを素直に伝えることができれば、こんな素晴らしいことはありません。親として子供から育ててもらったことに心からのお礼を言われたら、こんなに嬉しいことはありません。恥ずかしがらず、是非一度言ってあげてください。