親子経営 繁盛と繁栄の秘策 子供がすべき7つのこと 2   後継者二つの覚悟 (2015年8月24日)

ビジネスコラム

後継者二つの覚悟

後継者である子供が父親の跡を継ぐと決めたときから、会社の後継者であることを常に意識し仕事に従事しなければなりません。経営者になるという責任の大きさは生半可なものではありません。その重圧とこれからずっと付き合うことになります。

後継者である子供に二つの覚悟をしてもらわねばなりません。まず一つは、経営を引き継ぐ覚悟です。当たり前の話ですが父親の跡を継いで経営者として会社を経営するという覚悟をするということです。

社長になるということは経営すべての責任を負うことです。たとえ父親が会長職でいたとしてもすべての責任が社長にあります。社長がすべてを判断し決断します。社長が社内で唯一の決断者であり決定者でそして実行者となります。

会社の業務がすべて社長の責任の下で行われます。すべての取引先との信頼関係にも社長として責任があります。特に金融機関との付き合いは社長の仕事です。会社の将来がどうあるのか等すべてが社長に掛かっています。

経営を引き継ぐことは経営のすべてを引き継ぐことであって、決していいとこ取りはできません。これはいいけどあれはいやだとか、これは出来るけどあれは出来ないなどとは絶対に言えません。

もうひとつは経営者として生きる覚悟です。誰しも生まれながらにして経営者としての資質に恵まれた人などいません。多くの経営者はそれぞれにいろんな苦労を重ね、たくさんの努力の末に今の経営者としての地位と立場を築いています。

父親もまた然りです。いろんなことがあって今の会社を創ってきました。決して簡単な事ではなかったでしょう。後継者である子供に自信などあるはずがありません。これから少しずついろんな経験を積みあげていくしかありません。

経営者は会社のオーナーであり社員みんなのリーダーでもあります。会社の本来の所有者としての役割と責任、そして経営者としての役割と責任を果たさねばなりません。経営者の道は決して平坦なものではありません。

経営者は確固とした信念と軸がなければなりません。日々いろんな経営判断をしなければなりませんが、自分なりの判断基準がないと決断することができません。その判断基準が信念であり、支えるのが確固とした軸になります。

そうした信念や確たる軸をどのようにして経営者は会得しているのでしょう。経営者としてあるべき姿とはいかなるものでしょう。その人間観、人生観、幸福観、社会観、仕事観、経営観、家族観等はどのようなものでしょう。

経営者として生きるということはこれらの価値観にそれぞれ意味づけをしていくことだと言えます。生涯かけて経営とは、経営者とはと考え続けることが経営者として生きるという事かもしれません。

後継者である子供が父親から経営を譲られるとき、上記の経営を引き継ぐ覚悟、経営者として生きる覚悟を真摯にすることなく経営者になった場合に起こる様々な企業不祥事が多くあることはご存じの通りです。