親子経営 まだまだ面白いライザップという会社
ビジネスコラム親子経営 まだまだ面白いライザップという会社
今回はライザップの話を書こうと思います。実はライザップについては拙著新刊『親子経営 中国古典『大学』から学ぶ32の成功法則』(セルバ出版)でも取り上げています。まず、なぜ私がライザップに注目するのかお話しします。
ご存じのようにライザップは急成長を遂げており、2018年3月期の売上は1362億円を計上しています。この急成長を支えている要因に私は注目しています。それはユニークな経営理念と型破りなミッションそしてそれを実践する実現力にあると考えます。
ほとんどの企業には当然の如く経営理念があります。また同じようにその企業の使命則ちミッションがあります。ただ、多くの企業に於いてそれらは単にあるだけのお題目であることが現実です。
理想を云うなら経営理念と使命に基づいた経営を貫ければいいのですが、現実にはそうなっていない企業がほとんどです。それらの企業にとって経営理念や使命は業務遂行の参考にならず、ややともすれば邪魔な存在にすらなります。
そんななかライザップは「人は変わる」という経営理念と「結果にコミットする」という使命を標榜し、現場においてまさにこれを実践しています。そのことが私にライザップをユニークで面白い企業だと思わせています。
拙著に書きましたが、私は一度ライザップの本社を訪ねたことがあります。私の顧問先を連れ商談に行きました。その時の活気あふれる社内の雰囲気と私たちを応対したライザップの社員たちの言動に驚きと共感を持ちました。
私たちを対応した社員たちは幹部社員を含めみんな若く30代半ばであったと思います。そのひとり一人が元気良くそして明るく対応がスマートに感じられました。自分たちの会社、自分たちの仕事に誇りを持って臨んでいるという自信のようなものを感じさせられました。
瀬戸社長が言う「人は変わる」という信念の下、「お客様の結果にコミット」というスローガンを社員一人一人が正に実践し体現しているように思われました。私はその一度の訪問ですっかり瀬戸社長のファンにでもなったかのようでした。
そのライザップが、この度ライザップグループの代表取締役COO(最高執行責任者)にカルビーの会長兼CEOの松本氏を招聘しました。これには多くの人が度肝を抜かれる思いをしたのではないでしょうか。
瀬戸社長は代表取締役CEOとなり、二人代表制で当面運営されると云います。現在の1000億企業を将来1兆円企業とするための布石だと瀬戸社長は言われています。この人事こそ瀬戸社長ならでは、云うなら瀬戸社長の真骨頂と云えると思います。
瀬戸社長はまだ40才と若いですが、起業当初から幾度か経営危機を経験されています。そのことがあったからこそ今でも驕らず謙虚な姿勢を持つことができているのだろうと推測されます。
そして今回の人事こそ瀬戸社長の人柄を物語っています。ご自分の器量と才覚を冷静に判断されてのことだと思われます。ジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人社長、カルビーの会長兼CEOを務められた松本氏に本人が師事する形を取られての招聘は小気味よいものです。
現実には急激な成長による様々な問題があると思われます。それらも含めいい時期にプロ経営者を引き入れられたと思います。瀬戸社長の人柄と松本氏の経営手腕が上手く働けばますますライザップは面白いと思います。
そして何よりも経営理念と使命そしてそれらの実践というこれまでの企業スタイルを今後も維持できるのかというところにも注目したいと思います。できることなら1兆円企業となっても今の経営理念と使命が経営の隅々まで浸透されていることを願います。