転機を捉え好機とする

ビジネスコラム

 妻と二人、東京の下町で暮らし始め11年目を迎えている。上野の桜が10度目の春が来たことを告げている。妻と二人の会社を興し今春で10年になる。何ほどの業績を挙げているのでもないが、顧客のお陰で10年が過ぎた。先日、非常事態宣言が解除され辛抱しきれず妻と連れ立ち上野公園へでかけた。いいお天気の下で桜並木を歩かせてもらった。
 
 コロナ禍で鬱々とした気持ちが久しぶりにすっきりと晴れ渡ったような気がした。心の奥底からなにやらふつふつと気持ちが昂るのが感じられた。もうそろそろ動き出してもいい頃だと云われているようだった。もうすぐ65才になる。これからもう10年をビジネスパースンとしてのラストステージと捉え生き抜きたいと思う。
 
 手始めに会社のビジネスモデルを手直しするつもりだ。根本の企業コンセプトから考え直そう。そしてコンセプトから自然と創出される企業の課題を解決することを目的とした事業をいくつかやることにしたい。私自身が親子経営企業を経営し、その後数多くの親子経営企業と経営コンサルタントとして関わらせてもらった経験と知恵を存分に働かせよう。
 
 これまでの10年は自分一人で取り組めることだけをやってきた。これからの10年は私ひとりではなく、ビジネスパートナーとなる仲間を多く募りたいと思う。親子経営企業の様々な問題を解決するための課題に私とそれぞれの専門知識を持つビジネスパートナーとがチームを組んで取り組めるようにしよう。顧問先となる親子経営企業が元気で活力みなぎるよう全力を出し尽くしたいと思う。
 
 人が今が人生の転機だと思うにはいろいろなことがある。私の場合、父親から経営を引き継いだ会社を倒産させ、この春で10年が過ぎたことがひとつ。その後上京し妻と二人の会社を立ち上げもうすぐ10年を迎えようとしていることが二つ目。今年6月で65才となり高齢者の仲間入りすることが3つ目。そして先日、ある知人と久しぶりに出会ったことで運気が変わったと自覚したことが4つ目の理由となる。
 
 その知人とは8年前、大阪で出会った。私の従兄弟が最近おかしな人たちと付き合ってるようだと叔父から相談があった。それなら私が一度そのおかしな人たちと会ってみようということで大阪まで出かけて行った。その知人がそのおかしな人たちの一人だった。話をしてみると私と同郷ということが分かり驚いた。数奇な人生を歩んできた人となりがとても興味深く思われた。
 
 以来、私の従兄弟とでなく私と彼との付き合いが始まった。彼には実はある特殊な能力がある。いや、人には誰にもある能力らしいが我々凡人には自覚ができないだけだという。私と出会った頃の彼はその自分の特殊な能力を具体的にどのように使えばいいのか模索している最中だった。そんな彼にも幾度かの転機があり、上手く転機を好機として切り抜けた感がある。
 
 久しぶりに会った彼は彼の能力を必要とする多くの人々との出会いの中で日々とても充実した濃密な時間を過ごしているように窺がわれた。彼と顔を合わせ言葉を少し通わせただけでなにやら柔らかで暖かい空気に包まれたように感じられた。私の心が柔らかくなりほのぼのとした幸せを確かに感じることができた。その瞬間に私の運気が変わった、そう確信した。
 
 後は運気に乗り転機を好機とするのみだ。これまでの私の会社のビジネスモデルを見直し、これからの10年を生き切ったと云えるよう充実したラストステージにしたいと思う。親子経営企業が親子経営企業ならではの真価を発揮し、再び我が国の経済を下支えし、長年停滞しているGDPを上昇させることができるよう、親子経営企業のお手伝いをすることに専心しよう。