親への感謝の強要 親父に息子が育てられない7つの理由 その3 (2013年11月15日)

ビジネスコラム

~親への感謝の強要~

経営者でなくともよく親父が自分の子供に対して、育てたことを感謝しろという場面、見たり聞いたりしたことありませんか。
これと同じことを経営者である親父が息子に言うのです。

「この会社はおれが創った会社や。ここまで大きくしてきたのもみんなお前のためや。ありがたいと思え」

親父は何気なく、あるいは軽く冗談交じりで言うのかもしれませんが、聞く方の息子
にすれば 「また始まった」と苦々しく思うものです。
なかには、今お前があるのはすべて俺のおかげやと臆面もなく言う親父もいます。

息子にすれば言葉でこそ言いませんが、これまで育ててもらったことに感謝をして
いますし、ありがたいと思っているのです。
会社についても同じようにここまでしてきた苦労を思うと、ありがたいと思っている
ものです。
にもかかわらず事あるごとに会社で親父が息子に感謝しろ感謝しろと言うとしたなら
どうでしょう。

現実にある会社での話です。
非常に気が優しくよく何かと気が付く息子さんがいました。
親父の会社に大学卒業と同時に入社しました。

社員数20名くらいの会社ですが親父がとても頑固で人のいうことを何も聞きません。
親父は自分の考え方、やり方がすべて正しいと思っています。
当然、社員の意見など全く聞きません。

その息子さんはそんな親父と社員の間に入ってとても気苦労をしていました。
社員の代わりに社員の思っていることを親父に伝えようとするのですが全く聞き入
れません。
そのたびに親子げんかになっていました。

ある日、相当息子さんはストレスが貯まっていたのでしょう、親父に激しく言いつの
りました。
それに対し親父が「なにを言うとんのや。おまえのためや思うて会社をやってるん
やないか。いらん文句言うてどないすんねん。おまえは感謝が足りん。おれに感謝
だけしとれ」と大変な剣幕でした。

それまでの心労が祟ったのか、とうとうその息子さんは鬱を患ってしまいました。
大切な後継者である息子を親父が潰したようなものです。
よく聞く話のひとつです。