親子経営 となりの国のお話

ビジネスコラム

親子経営 となりの国のお話

 呆れてものが言えないとはこのことでしょう。もうここまでくれば笑うしかありません。おとなり韓国の会社の話とはいえ一言言わずにおれません。ことは親子経営の会社の話ですから。

 2014年にアメリカ、ジョン・Fケネディー国際空港において離陸のため滑走路に向かっていた大韓航空機が突然搭乗ゲートに引き返したいわゆるナッツリターン事件をみなさんご記憶だろうと思います。当時、大韓航空の副社長であったオーナー家の長女が客室乗務員の対応が悪いと叱りつけ無理やり航空機を引き留めたという事件です。

 また2018年3月には同じ大韓航空の専務取締役であったオーナー家の次女が広告代理店との会議の席で担当者の顔に声を荒げコップを投げつけたとして告発されました。
オーナー家の姉妹の暴挙が話題となるなか最後に母親の長年に渡る数々のパワハラまでが表面化してきています。映像では見るに堪えない三人それぞれの醜態と怒鳴り声が延々と流されていました。

 この大韓航空の一連の騒動を見るにつけオーナーである父親の存在がとても気になってしまいます。大韓航空のみならず韓進グループのオーナー家の総帥である父親の人格そのものを疑わざるを得ないようです。

 経営者である前に父親として自分の家庭を上手く修められていないこと、また会社の重要なポジションにあまりに多くの身内親族を就けていたこと、いろいろと公私混同が為されていたことなどが気になります。

 何よりも残念に思われるのはオーナー経営者にグループ社員への思いやり愛情が全く感じられず、ただの強欲親父がワンマン経営を一人悦に入ってるようでまるで裸の王様だということです。

 事が起こるたび父親である財閥会長が国民に対しお詫びと称し会見で謝っています。それこそ毎度、娘の教育が間違っていましたと言っています。この度は妻の言動も公になってきており今回は妻のこともお詫びしなければならないようです。

 さて、中国古典『大学』に次の一節があります。
「その国を治めんと欲する者は、先ずその家を斎(ととの)う」と書かれています。一国の政治を担おうとする者はまず自分の家庭をしっかりと運営することだと言っています。

 置き換えていうなら経営者たる者、会社経営の前に自分の家庭を上手く修めなさいということでしょう。自分の妻や子を上手く統御できない者が会社をまともに経営することなどあり得ないということです。

 社員は経営者のありのままの姿を見ています。経営者がどんな父親であるのかまで見透かしています。経営者の家庭が乱れていたなら社員の社長への信頼感が薄れてしまいます。父親として立派に家庭を修めることが社長として会社を上手く経営することに繋がる所以がここにあります。

 大韓航空の会長の人格のみならず経営者としての資質まで疑わざるを得ないと私がいう理由です。あのような言動をとる娘に育ったのは家庭環境にあり、それを良しとしてきた両親しいては父親に全責任があると思われても仕方がないことかと思います。