親子経営 繁盛と繁栄の秘策 父親がすべき7つのこと 7 経営交代を計画的に進める (2015年8月11日)
ビジネスコラム経営交代を計画的に進める
経営者である父親は自らの進退を自ら決めねばなりません。後継者となる子供がいる場合、計画的に経営交代の準備をすることが大切です。Xデ―となる日を決めたらその日に向かって、後継者の育成を含め総合的な事業承継計画を立案し進めることが重要です。
ここのスタートを間違えると後々禍根を残すことになります。今ある多くのお家騒動の原因を辿ってみるとまさにここに行き着きます。ここで大事なことは二つです。一つは経営者である父親が自らの進退を自らが決めるという事、そして決定事項に責任と覚悟を持つということです。
もうひとつが後継者への経営交代を計画的に進めるということです。これまで述べてきました身内親族の役員、社員、そして古参社員などの処遇などを含め、後継者のスタッフとなる人材の選択、確保などを配慮しながら総合的に事業承継計画を進めるということです。
今週のコラムを書くまでの間にロッテのお家騒動について新たなニュースが飛び込んできました。このコラムのプロローグで書いたように今年の1月8日、ロッテホールディングスの臨時株主総会が開かれ後継者の有力候補と思われていた長男浩之氏が副会長を解任されました。
それに伴い他の関連会社の役職も解任され、事実上次男の昭夫氏が後継者となっていました。ところが7月27日に日本のロッテホールディング本部へ重光武雄会長と解任された長男浩之氏が突然現れ次男昭夫氏の解任を発表しました。
翌日28日には次男昭夫氏が父親と長男がしたことには法的効力がないとして逆に父親の武雄会長を代表権のない名誉会長とする決議をしたと発表しました。事態は当初、父親による長男の追放で終わったかに思われていましたが、ここにきて互いに高齢の父親を抱き込んでの兄弟の骨肉の争いの様相を呈してきました。
このような話はロッテのような大企業に限らず、オーナー企業ではよく起きることです。事の原因の多くは経営者である父親にあります。息子たちの優劣、出来不出来などは二の次の問題です。
ロッテの場合、長男、次男のどちらを後継者とするのかを決断決定することなく会長である父親が高齢になるまで代表権を握り続けたことが一番大きな問題だと言えます。会長である父親が自分の出処進退を決めきれずにいたことがお家騒動を招いたのです。
もっと早い段階でどちらかを後継者に決定し、自分は代表権のない会長に引くことができておればこのような事態は避けられました。経営者は自分が創った会社が大きければ大きいほど社会的責任が重大であることを自覚せねばなりません。
経営者である父親がいつまでもトップの地位にしがみつくことなく次の世代に次の時代を委ねる覚悟をすることです。自分の後継者を指名し時間をかけ育てあげ、自分の出処進退を明らかにすることが、最後の大仕事になります。