「ごめんね」考 (2011年11月28日)
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以前、毎晩のように飲みに出ていました。カラオケでよく歌いました。当時、スナックやラウンジのママにリクエストをして、よく歌ってもらったのが高橋真梨子の「ごめんね」でした。この歌には、なぜか色気がありました。彼女たちの「ごめんね」を聴きながら飲むウィスキーは極上の味でした。
先日、知人に誘われ、初めて高橋真梨子のコンサートに行ってきました。会場は東京国際フォーラムでした。5000人の観客で埋め尽くされた会場を見て、私はとても驚きました。私が生まれた町の人口以上の人々で大きな会場が満席だったことに感心してしまいました。高橋真梨子はデビューして38年になるそうです。お年は私より7つ上の62歳です。コンサートのバックバンドは、彼女の旦那さんが率いるヘンリーバンドが勤めており、バンドマンの平均年齢は52.375歳だそうです。ちなみに当日5000名の観客の平均年齢は少なくとも53歳以上でした。私が見た限りでは55歳よりも上だと思いました。今年の7月から全国ツアー40公演の最後のコンサートだったようです。会場には全国からファンが駆けつけているようでした。コアなファンが多く、立ち上がって手を叩きながら聴く曲が決まっているようで、周りの観客が一斉に立ち上がって手を振りだすのには、初めての私はなじめずに困っていました。
62歳の歌手に平均年齢52.375歳のバックバンド、観客の平均年齢55歳以上で5000名収容のホールが満員。ビジネスとして考えると十分成り立っていますし、これからも高橋真梨子が元気であれば、コンサートは盛況だろうと思います。なぜなら、歌手が年を重ねるのと同時にファンも年を重ねているからです。そして、何より高橋真梨子の62歳という年は、まさにあの団塊の世代なのです。いわゆる団塊の世代は今、61歳から65歳になられています。しかもその世代は1100万人弱もの人がいます。団塊の世代前66歳から70歳までが900万人、後の世代56歳から60歳までが900万人ですから、56歳から70歳までの総計は約2900万人もの人がいます。それは、高橋真梨子のファン対象年齢の人口とも言えますし、ターゲットとする世代とも言える人口が、実は2900万人もいるということなんです。ビジネスの原則として、市場が広く大きいほうがチャンスが多いのです。まさに高橋真梨子のビジネスは原則に適っています。非常に大きな市場を彼女は持っているという訳です。今の56歳から70歳の身近な人たちを想像してください。彼らの多くは一仕事を終えられ、そこそこにお金に余裕があり、自由になる時間がたくさんあります。そんな彼らが高橋真梨子の熱烈なファンならば、どうでしょう。今年の高橋真梨子の全国ツアーは各地とも満席だぅたそうです。さもありなんと、私は納得しています。
今の日本経済の不振は「内需の減少」の結果だと言われています。15歳から64歳までの生産年齢人口が減少し、消費が減り続けていることが原因のようです。これに対する施策として、高齢者による個人消費の増大を図るというのがあります。その意味からも、高橋真梨子が毎年、全国ツアーを行うことは、とても重要なことだと言えます。そして、高橋真梨子に限らず、熟練のエンターテイナーたちが、より盛んに活躍していただくことが、「内需の増加」に繋がることは言うまでもありません。