ある日の営業シーン (2012年5月25日)

敬天愛人箚記

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先日の営業先での一コマ。

「お忙しいところ、ご面談いただきましてありがとうございます。わたくし事業継承コンサルタントをいたしております大石と申します。よろしくお願いいたします」

「いやいやどうも。うちは事業継承の専門部署がありまして、コンサルタントも国や都の派遣の先生方を使っております。顧客向けのセミナーも無料の先生にお願いしております。ところで先生は以前は何をしていらしたのですか」

「わたしは長年事業経営者でした。2年前の春に会社を潰してしまいました」

「そうですか。それは大変ご苦労されたんですね」

「わたしは自分の失敗した経験もお話ししたいと思っています」

「いやー、うちの客は成功者の話を聞きたいと思いますよ。失敗者の話は誰も聞きたくないでしょう」

「そうでしょうか。成功者の話は面白いでしょうが、誰もがまねはできませんよね。その点わたしの話は、わたしがしたことさえまねしなければ、失敗するリスクが少なくなると思うんですが」

「いや、わたしどものお客に失敗の話は聞かせられません」

「そうですか、アメリカでは失敗者の話こそ、宝の山だともうしますが、残念ですね」

「先生、これからうちのような金融機関を回られるのでしたら、うちより小さなところへ行かれた方がいいと思いますよ。うちはわたしがすべての研修をしきっており、専門の講師先生もたくさん知っています。うちより小さなところはこれほどしっかりとしていませんから、先生にもチャンスがあるかもしれませんよ」

「ご親切にありがとうございます。また、なにか機会がございましたらよろしくお願いいたします。今日は有難うございました」

実は、わたしの事務所の近くのいくつかの金融機関のなかで、一番ちいさなところから行こうとそこへ行ったのでした。

おたくより小さな金融機関探すのが大変なんですがと、さすがに言えませんでした。
なぜ、あの方があの年であの部署にいるのかよく分かりました。

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向こう3年で、子息に継がせたい社長

   経営者と後継者のコーチだからできる

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  ビジネスデザイナー・エグゼクティブコーチ

         大石 吉成

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