再び「友」のこと (2015年2月15日)

敬天愛人箚記

再び「友」のこと

昨日から先ほどまで友人である永松昌泰君の森羅万象セミナー録を読んでいました。
2003年に熊本で行われた「森羅万象セミナー」全6回の全記録です。
1回のセミナーが4時間くらいなので読み通すのに丸一日かかってしまいました。

今読み終えたばかりで頭の中がまだ興奮から覚めず脳が沸々と音を立てています。
内容は文字通り森羅万象を彼が思う存分に語るというものでした。
彼が得意とする数学、物理学、哲学は勿論のこと宗教、文学にまで至る壮大なスケールで画かれた大伽藍を見せられた思いです。

セミナーでは幾冊かの本がテキストとして使われていました。
その本たちがまた一筋縄では行きません。
難物ばかりが揃っています。

まず、「密教誕生」桐山靖雄から始まり「当麻」「無常なること」小林秀雄、「部分と全体」ハイゼルベルグ、「シッダールタ」ヘッセと続きます。
それぞれを丁寧に彼が読み解いていきます。
読み進むうちに思わず引き込まれていきます。
まさに彼の真骨頂とでも言うところです。

私自身彼の講義を2回聞いています。
いずれも4時間程度と結構長いのですが、最後まで聞かされてしまっています。
とても難解な話を聞かされているにもかかわらず、面白いのです。

このセミナーの内容を浅学菲才の私が話せるはずもありません。
一人でも多くの方に読んで欲しいと思うばかりです。
ただ、ひとつ嬉しい発見がありました。

前回ヘッセの「シッダールタ」を500回以上読んだという友人の話を書きました。
その理由が知りたくて、私も生まれて初めて同じ本を3回読んだと。
その理由が今回分かりました。

彼の若きころを彷彿とさせる話でした。
彼の青春そのもが垣間見えました。
若き日の彼が若き日の彼の妻に語ったそうです。

「僕はシッダールタのように出家せず、普通の家庭を持ちながら限りなく仏陀に近づくこと、これが僕の一生のテーマだ」