真っ当な経営改善のすすめ (2011年9月28日)
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先日、ある団体主催の経営セミナーに行ってきました。テーマは「震災後のあるべき経営とは」とありましたので、興味を持って出かけました。ある意味で大いに刺激を受けましたが、内容についてはとても不満が残りました。私は知りませんでしたが、講師先生は事業再生のスペシャリストで有名な方らしく、講演料が50万円と聞き驚いてしまいました。それだけ高い講演料なら、話をよく聞かないともったいないと思い、一生懸命聞くことにしました。年200回以上の講演をされているようで、さすが堂々とした態度で良く響く声で話始められました。しかしながら、話が進むうちに、私は何か少しおかしいぞと思い始めていました。
まず、この日のテーマについての結論は、2015年までは景気低迷が続くと予想されるので、経営努力をして、お金を極力使わず、生き残ることだけを考えなさいということでした。なぜなら、その間に同業他社が多く潰れるので、一息つけるということでした。それを聞いて私は、まさかこれが今日の話の結論なのかとあきれてしまいました。
次に、初めは白板に書いた字を自分で消していましたが、次に書いた字をわざとその会の世話係の方に消させました。そして先生曰く、「私の時給は5万円です。白板を消す時間があれば、少しでもみなさんにお話しするのが正しいと思うのです」とおっしゃいました。これにも私は唖然といたしました。先生曰く、「社長の時給は高いのです。よって時給が高いなりの仕事をすべきです、と言いたかったのです」ともおっしゃいました。私は何とも不愉快な思いでいました。
そして2時間半話し続けた結論は初めに書いた通りですが、話の大半はご自分のやられている事業再生の話で、最後に顧客の勧誘と事業の宣伝で終わりました。その話のなかで「わたしのやる事業再生は合法です」と何度も合法という言葉を使われていました。そう言われるたびに、かえって胡散臭さといかがわしさを感じました。かんじんのどうやって事業再生をするのかということについては、軽く触れる程度で、知りたければ会員になるかクライアントになりなさいと言わんばかりでした。どうやら会社分割を行い、金融債権を旧会社にすべて置き去りにし、新会社を運営するということのようでした。先生またまた曰く、「金融機関は暴利をむさぼっているので、少々の焦げ付きは致し方ない」とおっしゃられていました。私も金融機関には苦い思いがありますが、金融債権と一般債権に何ら違いは無いと思っていますので、理解に苦しむ話です
さて、その団体は社団法人であり、公共機関肝いりの団体です。まさかその団体主催のセミナーで、高い講演料を取られる先生が2時間30分、ご自分の会社のためだけに使われるとは夢にも思いませんでした。聞くところによると、その先生はその団体の他の支部でも何度も講演をされていると聞き、私はあきれるしかありませんでした。その会のお世話をされている職員も先生の言われるまま白板を消しに行かれたり、先生の話が適当かそうでないのかなど、何もお考えないような顔をされていました。
私も講演講師の端くれとして生きていこうと思っていますが、こうした現実を見てしまいますと、いよいよもって己を戒め精進せねばと心新たにしています。私はかの先生ほど場数を踏んでいませんので、迫力不足かもわかりませんが、かの先生ほど高い御代はいただかず、真っ当な経営改善のお話をしてまいる所存でございます。