私の理由 (2011年7月12日)
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私が長年経営してきた会社を何故、倒産させたのか、お話します。昨年3月、資本金総額1億6000万円、総売上高110億円の建設資材販売グループ企業2社を、負債総額45億円にて破産、現在法的整理中です。以来ずっと考え続けてきました。何故、私が会社を潰すに至ったか、その原因と理由を明らかにしなければ私自身、次の一歩が踏み出せないと思ったからです。しかし、その原因と理由を突き詰めていくと、「私の不徳の致すところ。」「私の経営者としての能力、資質が欠けていた。」ということになります。それでは話が終わってしまいます。もう少し具体的にお話します。人・物・金というフレームで、考えてみます。
人という観点からお話します。私が経営者としてリーダーシップの取り方、リーダーとしての在り方を間違えたことが、まず挙げられます。特に社員とのコミュニケーションの取り方が稚拙で、相互に不信感がありました。会議は社長である私の独壇場になってしまい、営業は纏まりがなく、それぞれの個人プレーの集まりでした。トップの私は一人で飛び回って自己満足の極みでした。経営者として経営方針を社員に丁寧に語る事をしませんでした。多くを語らずとも、後ろ姿を見れば、自ずと理解してくれるだろうと、勝手なことを思っていました。人事制度・組織制度の大切さを認識せず、見直し、改革を疎かにしたのも、大きな過ちでした。
次に物という観点でお話します。私の会社は土木資材の販売が中心でした。土木資材は民間よりおもに公共工事で使われます。公共工事依存度が非常に高い会社でした。近年、公共投資抑制の政策により、市場規模が半減していました。そんな中、自民党から民主党へ政権交代があり、政治空白による予算執行の遅れがあったり、最後には、鳩山総理の「コンクリートから人へ」が駄目押しでした。私の会社のメインビジネスがセメント、コンクリート販売でしたから。公共工事の激減により当社の売上も大きく減少しました。
最後に金という観点でお話します。上記の理由もあり、急激な売り上げ減少に伴い、キャッシュフローの悪化を招き、運転資金のショートが直接の原因と言えます。それ以前に、自己資本比率の低さ、投資債権の不良化等、放漫経営の結果がバランスシートに現れていました。
以上で私の経営能力の稚拙さが、原因であることが、明らかになりました。でも何故、昨年のあの時に、私が会社を潰さなければならなかったのか、理由がわかりませんでした。それは私の54年の生き様を否定された瞬間だったのです。私は知らず知らずの間に、独善的で高慢な男になっていました。私の生き様が自然の理、宇宙の理に適っていなかったのです。倒産1年前に慢性骨髄性白血病になったのも、私に心の準備をさせてから、破産させたのだと思っています。人生の意義は人間的成長にあります。多くのことを私が知るために、破産者になる必要があったのでしょう。愚かな私は、そうならなければ、気付かなかったのでしょう。
私が会社を潰した原因は、明らかに私の不徳です。一方、理由は私に「幸せは遠くにあるのでなく、身近な所にある。」ということを、気付かせるためでした。これが私の理由です。