誉める (2011年6月27日)

敬天愛人箚記

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私は人を誉めるのが上手ではありません。長年会社経営をしましたが、社員を誉めたことをあまり記憶していません。私がよく困ったことのひとつに結婚披露宴での挨拶があります。大抵、新郎新婦どちらかの客であり、そのどちらかを挨拶の中で誉めねばなりません。どこからどう見ても、どこをどう見ても誉めるところが見つからない人がいます。そんな時、大変困ってしまいます。困った私は、とうとう本人に尋ねることにしました。「あなたのいいところを教えてください。」今から思うと、とても失礼な話です。

人を誉めることは、とても難しいのです。それに対し、人を批判することは簡単です。意識すること無く、自然に出てきます。そこまで言わなくてもと思われる程すらすらと出ます。さて、誰かを誉めようとする時は、意識をして相手をよく観察し、丁寧に拝聴し、共感する必要があります。そして言葉を選びながら相手に伝えねばなりません。努力とスキルが要求されます。もちろん何ら意識せずとも自然と誉めていることもあります。どうしてもこちらから進んで誉めたい人もいます。

最近、トーストマスターズクラブという団体の例会に通っています。そこでは、スピーチ、プレゼンテーション、リーダーシップのトレーニングが行われています。例会プログラムの中で、メンバーのスピーチに対しフィードバック(論評)するというのがあります。これが実に難しいのです。批判はすぐ出来ます。論評では改善点を伝えねばなりません。批判ばかりでは聞く方が素直に聞けません。良い点を探し、まず、誉めねばなりません。良かったところを出来るだけたくさん伝えた後で、どうしてもこれだけはという良くなかった点を改善点として、一つ伝えるのがいいようです。

振り返ってみると、社長時代の私は、社員を誉めることなく批判ばかりしていました。私から進んでコミュニケーションを取ることもしなくなっていました。独りよがりな経営者であったと思います。トーストマスターズクラブで論評を重ねることで、良い点を見つける習慣を身につけたいと思います。私が苦手であった、人を誉めるということを、意識してやろうと思っています。そのうち、久しぶりに私と会った方は、気持が悪いくらい私に誉めちぎられることでしょう。