起業のすすめ その2(2011年5月31日)

敬天愛人箚記

昨年、日本の大学生の就職率が91%だと報道されていました。就職率が低いという内容でした。アメリカの大卒の就職率は23%程度だったと思います。アメリカでこのことが大きな社会問題になったとは聞いてません。きっと普通の状態なのでしょう。日本よりアメリカが景気悪いのでしょうか。そのようには見えません。では何故これほどの違いがあるのでしょうか。3つの理由があると考えています。1つは教育の違い、2つには社会システムの違い、3つには価値観の違いがあるようです。

まず、教育の違いです。明らかに教育内容、教育方針が違います。子供たちにどのような教育をして、どんな大人になって欲しいのでしょうか。日本は戦後、高度成長期に大学進学率が高くなり、多くの優秀なサラリーマンを輩出してきました。大企業や中堅企業が望む、頭脳明晰、性格温厚、そして体制に従順な若者を多く世にだしてきました。

次に社会システムの違いです。日本企業は長らく終身雇用制できました。新卒者を採用し教育、研修をし、実務を積ませ一人前の社会人に育てあげ、定年退職まで雇用するやり方できました。一方アメリカは経験のない新卒は、あまり評価されません。経験や知識があり実務能力が高い者が優遇されます。

最後に価値観の違いです。日本では、大学を出、就職をすることで一生涯の仕事を決めていることになります。アメリカの大学生は人生を長い目で見ます。とりあえず就職をしてお金を稼いで世界中を見たいと考える者、大学院へ行って専門知識を身につけ仕事に就こうとする者、まず起業しようとする者、とにかく多種多様なのです。日本のように91%がサラリーマンになる国が珍しいのです。自分というユニークな人間が今の世界でなにが出来、これからの世界で何がしたいのか、そんなことを考えています。

今私はビジネススクールに通っています。そこには優秀な若者がたくさんいます。聞けば誰もが知っている企業の社員が多いのです。彼らの中には起業を目的としている方もいます。多くは、自分自身のレベルアップを図り、社内でのより高いポジションの獲得を目的としています。アメリカのビジネススクールの卒業生で最も優秀な学生は自ら起業します。次に優秀な学生はコンサルティング業界へ進みます。そして将来起業する機会を待ちます。

起業がすべてだと言いません。しかし、もう少しだけ多くの学生や若者が起業を考えてくれたらと思います。一度の人生ですから、自分を大切にし、自分にしか出来ないこと、自分だから出来ることをゆっくり探して欲しいと思います。これからの日本は、今の若者が創るのですから。