1兆円の軽重 (2012年5月11日)
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トヨタ営業益1兆円
東電公的資金1兆円投入
今日の新聞の同一面の記事です。
同じ1兆円ですが、大きな違いがあります。
トヨタはリーマンショック以来売上不振が続いていました。
さらに、東日本大震災やタイ洪水の影響で生産が随分落ち込んでいました。
そうした様々な困難を克服しての今期の営業益1兆円です。
その企業努力に心から敬意を表します。
一方、同じ民間企業であるはずの東電が、自ら事業を立て直すことなく、我々国民の金1兆円が投入されることになりました。
心情的にとても腹立たしい思いがします。
このふたつの企業が同じ民間企業であることが、信じられません。
ともに東証1部に上場する企業とは思われません。
東電は福島原発の賠償額を2.5兆円と見積もっています。
しかし、汚染地域の除染費用並びに廃炉のコストは今回見積もられていません。
さらに、東電は全部で17基の原発を持っています。
原発を持っていることのリスクは、今回の事故により計り知れないほど大きなものになりました。
それら17基の原発のリスク評価が厳密に行われるなら、相当な金額が計上されなければなりません。
2012年3月期決算は7080億円の単独赤字だそうです。
さて、これらを勘案すると、この会社の時価総額は一体いくらになるのでしょうか。
とても市場に上場する価値があるとは思われません。
原発1基当たりのリスクは同等ですから、他の電力会社も同じことになります。
このたび発表された東電の再建計画では、政府の原子力損害賠償機構が1兆円出資し、議決権の50.1%を握り国有化されるようです。
さらに、政府は賠償資金も支援することになり、今回3兆4000億円を超す支援額になります。
これでは、他の民間企業と同じ市場に上場すること自体許されません。
わたしは、他の多くの方が言っているように、東電は事業清算されるべきだと考えています。
東電清算事業団として整理され、新たな会社が運営を引き継ぐべきだと思っています。
脱原発も含めた政治判断が求められています。
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向こう3年で、子息に継がせたい社長
経営者と後継者のコーチだからできる
親から子への事業継承コンサルティング
ビジネスデザイナー・エグゼクティブコーチ
大石 吉成
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